サブタイトルにあるように、私は東証一部に上場している中小メーカーのエンジニア(ソフトウェア開発)として働いている。
以前、直属だった上司が異動となり人事担当となった。開発から人事だったため何事かと思ったが、それよりもビックリしたことがある。
新卒担当しているのだけど、◯◯校(母校)から技術職希望の子がまったく来てくれなくてね。誰か良い子、知らない?
人見知りでヒッキーな上に、母校なんて卒業以来、行ってない。そんなこと私に聞かれても。……じゃなくて、そんなに新卒に飢えているんかい! と驚いた。
事務職希望の子は多いんだけどねぇ
そうだよねぇ。ブラックが多いと噂ばかりがたつIT系よりは事務の方が……じゃなくて。
きちんと話を伺うと、学卒はそこそこ集まるのだが、専門からの技術職希望がなかなか来ないらしい。何でかな〜と思ったが、思い当たる節がひとつだけあった。
メーカー系ってのが逆にアダになっているのかもしれませんねぇ
この私のセリフの意味は、記事内でおいおい説明していくとして。
最初に言っておく。「メーカー系」がオススメな人は、
- 特に理由もなく「独立系」を受けようとしている人
- そこそこの賃金で、可も不可もなく安定して働きたい人
- 希望はソフトウェア開発だが、実はハードウェアにも興味がある
かつ
- (穴場を狙って)専門学生
だ。
男女学歴問わずバリキャリを目指す人には不向きだ。そういう人は、実力主義の外資かベンチャーに行った方が良い。
なんとなく「独立系」を受けようとしている人、「メーカー系」とはなんぞや? と思っている人。多いのではないだろうか。「独立系」も「メーカー系」も就活したことのある身としては比較する意味でも、どちらも受けた方がいいと思っている。
ちょっとでも興味を持って頂けただろうか。では、詳しく話していこう。
この記事はメーカー系について特化して書かれてる。独立系について知りたい人は以下の記事を参考にしよう。
IT業界について
IT業界は大きく分けて3つの系がある
- メーカー系
- ユーザー系
- 独立系
ざっくり分類すると上から「ハードウェアを作って販売している会社」「メーカー以外の業種の情報システム部門が切り離されて会社になった」「それ以外のソフトウェア開発会社」である。
IT志望の就活生はやはり「ばりばりソフトウェア開発したい!」という想いから「独立系」を選択することが多い。
確かに選択としては間違っていないのだが、ここでひとつ「メーカー系」も検討して頂きたい。
今回はあまり「ユーザー系」については言及しないつもりだ。何故ならあまり詳しくないから。
求人票での「メーカー系」の見分け方
正確な区分方法ではないが、実際に私がやっていた方法だ。
- 何かを製造してるっぽいなと読み取れる
- 資本金がそこそこでかい額
- 「独立系」の文字が入っていたらそこは絶対に違う
求人票をざーっと見ているとその内、見慣れてきて何となく分かる。一番簡単なのは「四季報」を見て、業種が「情報・通信」かつ特色に「独立系」と記載があれば「メーカー系」ではない。
また、メーカー系とは言い切れないが、日立や東芝など誰もが知っている名の製造業が親会社のソフトウェア開発会社は、ある意味「メーカー系」に近いと言えるかもしれない。
見ていくうちに分かると思うが、求人票の数が圧倒的に「独立系」>>>「メーカー系」であることにも気づくことだろう。星の数ほどある中でどれを受けたら分からない! となった人は、「メーカー系」に限って就活してみるのもアリかもしれない。
「メーカー系」のメリット
- ソフトウェア人材が枯渇しているので需要が高い
- 福利厚生が充実・労働組合が強い
- 資金力(体力)がある
- 「独立系」に比べて勤務地が安定している
「メーカー系」はソフトウェア人材が枯渇しているので需要が高い
昔はハードウェア、ソフトウェアと明確な区別があったが、今は大分曖昧になってきている。
特にメーカー系は今までハードウェア重視でやってきている分、ソフトウェア開発が弱いところがひじょうに多い印象を受ける。だからこそ、需要があるのだ。
でも、ハードウェアの知識がないと辛くない?
よく聞かれるのだが、確かに辛い部分もあった。趣味程度でもいいから知っていた方が断然有利ではある。
が、しかし、必須ではない。何故なら、ハードウェアのエキスパートは周りにいっぱい居る。分からなかったら聞けばいい。
ハードウェアもソフトウェアも出来ます! も強いが、ハードウェアはあまり分かりません。しかし、ソフトウェアに関しては誰にも負けません! も十分な強みだ。自信を持っていこう。
業務面談で上司に「ハードウェアの知識量はどれくらい?」と聞かれて「オームの法則ってなんだっけ? レベルです!」と自信満々に答えたのは私だ。
「メーカー系」は福利厚生が充実・労働組合が強い
かね、このような企業が多い。説明会で質問すればより詳しく聞けるだろう。
うちも中小メーカーだが、福利厚生は「ベネフィット・ワン」利用、労働組合はひじょうに強い。労働組合については、理不尽な扱いを受けた時はメールを送れば、即時対応してくれる。残業に関しても36協定が締結されている。
納期など関係で必ずしも協定が守られるとは限らないが、ないよりはある越したことはない。
労働者は法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて労働させる場合や、休日労働をさせる場合には、あらかじめ労働組合と使用者で書面による協定を締結しなければならない。
引用:労働基準法第36条
「メーカー系」は資金力(体力)がある
身をもって感じているが、一度や二度くらいの危機では揺るがない。資金力があるというのはやはり心強い。
この辺は四季報を読めるとよく分かるだろう。自分が就活生だった時は見てもわけわかめだったのであまり参考にしなかったが、読める人は是非「メーカー系」と「独立系」を見比べて欲しい。
下記本は株向けだが、「会社四季報の達人」とあるように四季報の読み方にも繋がるので参考になるかもしれない。就活に、投資にと1冊で2度おいしい本だ。
「メーカー系」は「独立系」に比べれば勤務地が安定している
これについては「独立系」の話をした方が分かりやすい。
「独立系」はお客様のところに常駐して仕事をする形式が多いので、案件により勤務地が変わることが多い。「独立系」に就職した友人はこれによく振り回されていたものだ。
友人は勤務地にこだわっていたため、説明会でも内定を取った後でもしつこく「(勤務地は)変わりませんよね?」と聞いていた。だが、実際のところは都内のあっちへこっちへ、激流にながされるかのごとく流されていた。
その後、友人はこの会社を辞めた。所詮は口約束、人材をひとりでも多く確保したい人事の思惑にまんまと友人は犠牲となったワケだ。「独立系」で離職率が高いひとつの要因でもある。
「メーカー系」は基本、異動と共に勤務地が変わる感じだ。ないことはないが「独立系」よりは遥かに安定しているし、勤務地=拠点があるところになるので必然的にある程度、絞られる。
「メーカー系」のデメリット
- 「旧態依然」な会社が多い
- 業界的にやや下に傾いている?
「メーカー系」は「旧態依然」な会社が多い
終身雇用をうたい、年功序列や学歴社会がはこびっている。終身雇用は安定志向の人にはうってつけだが……年功序列や学歴の壁は、バリキャリなアクティブ人には邪魔なことだろう。
ただ、年功序列や学歴に関係なく出世している人も居るので、それだけが全てとも言い切れない。メーカー系も今までのように過去の遺産でお金を得る時代に終わりを告げ、色々と変えようと試行錯誤している時期なのだ。
「メーカー系」は全体的に下に傾いている?
これは私の勝手な印象だ。だが、あながち間違いでないでないのかもしれない。
先日、パシフィコ横浜で行われたET&IoT展(技術総合展示会)に行ったのだが、各ブースで行われていた某大企業のセミナーがガッラガラだった。
たまたま、興味のない分野のセミナーだったのかもしれない。丁度、お昼だったし、時間帯が悪かったのかも?
思ったが、ふっと感じたのだ。
興味をそそる展示物、無かったもんなぁ。前年と展示物、あまり変わり映えしていなかった印象も受けたし
昔の栄光にすがってばかりで資金力という体力もあるばかりに背後から迫っている危機に気づかず、優雅に腰掛けている企業が一部あることも事実だ。
「メーカー系」はなぜ専門学生にとって穴場なのか
専門学生の気持ちになって考えてみた。
「メーカー系」は専門採用枠がない or 少ない?
「メーカー系」は採用校に専門学校名がない?
憶測だが「メーカー系」は「専門学生の採用枠は少ない」「採用校に専門学校名がないから通らない」とネガティブにとらえすぎてないだろうか。結論から言ってしまうとそこが盲点であり穴場なのだ。
実は私も就活生だった時、そう思っていた。実際、うちの会社も(今は「採用人数」で一括りになっているが)かつては学歴ごとに採用人数を括っており、専門卒の採用人数は「1人」とか「なし」とかそういうレベルだった。
枠がない or 枠が少ないのなら受けても仕方ない。
と、候補に外してしまっていないだろうか。意外な盲点なのだが、自分がそう思ったのなら他の人も当然、そう思う確率が高い。よって、逆に競争率が低くなっている可能性がある。
学歴フィルターでお断り! なら仕方ないが、採用枠は見受けられないが求人票が来ていたり、専門学生への門戸を開いているというならば、チャレンジしてみよう。チャレンジしなければ始まらない。案外、すんなりと選考が通って拍子抜けするかもしれない。
絶賛・就職氷河期で就活していた私が言うのだから間違いない。逆の法則を見出し、「専門卒」「女」と圧倒的不利な状況で「メーカー系」に特化して就活したが、そのほとんどが最終面接までこぎつけた実績がある。自信を持とう。
併せて「独立系」も受けていたが、説明会規模(人数)からしてメーカー系<<<独立系だった。やはり採用人数枠で騙されている人が専門学生に限らず居そうだ。また、「独立系」は採用枠も大きく見えがちだが、それだけ人材が足りない=離職率が高いということなので注意しよう。
まとめ
「メーカー系」に特化して話を進めてみたが、どうだっただろうか。ちょっとでも興味を持てた方は是非「メーカー系」も検討してみて欲しい。
何だかんだでやはり「メーカー系」は手厚い。長い目で見れば安定しているところも多い。仮に危うくても企業名だけは通っているので、転職に有利に働くことは間違いない。(「メーカー系」を踏み台にして、某自動車大手企業に転職をした子も居た)
とは言っても一度の就職で生涯、働き続けられる人はマレだ。就活は英訳すると「Job Hunting」となる。企業にやとってもらうのではない、仕事を狩るのだ。自分が企業を選考してやる! ぐらいの気持ちで、後悔のないよう悔いの残らぬよう就職活動して頂ければと願い、エールを送らせて頂く。
最後に関連記事のご紹介をさせて頂く。
「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」に技術職として就職したある女学生たちのお話だ。実話に基づいた話なので参考にして貰えればと思う。
ではでは、この辺で。
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