私自身米ドル建て終身保険には入っていないが以前、相談したFPが薦めていたものをまとめた記事である。自論としてはiDeCo+つみたてNISAでETFを自力で購入した方がいいかなぁ、に思考は切り替わっている。
米ドル建て終身保険をご存じだろうか。私は生粋の日本人なので、どうしてもドル建と聞くとうさんくさいイメージがつきまとう。しかし最近、株の勉強をしている内に米国株やETFなるものに出会った。配当金が日本よりも良いらしい。だけど手数料がかかる。だが、やはりお金が絡んでくると俄然興味がわく。
そんな矢先のことだった。10月某日、人生初のFP相談に行った先で米ドル建て終身保険を勧められた。ドル建て終身保険とはなんぞやから、ドル建てのドの字も知らなかった私がFPに伺ってきて知ったメリットやらデメリットを話してみようと思う。
「米ドル建て終身保険」とは
「米ドル建て保険」は、お金の単位が「円」から「ドル」になっただけ
簡単に言えば円がドルになっただけである。契約者が亡くなれば契約時に定めたお金が支払われるし、30年(満期)経っても同じくお金が支払われる。
ドル建と聞くとつい構えるが、聞いてしまえばそんなものである。アメリカ人からすれば極普通のスタンダートな保険だとFPさんは言っていた。日本人が日本の保険に入っている感覚である。
今回の場合、日本人がアメリカの保険に入ろうとしているだけである。アメリカ人が日本の保険に入ろうとしているのとも同じだ。ただ、世界情勢やら何やらの関係で、利率が日本よりもアメリカの方が遥かに高いが故に元本に対してのリターンが大きく見込める、かつ、手数料が取られることを加味しても人に薦められるまでに至った、というだけである。
「米ドル建て保険」は元本保証なの?
元本保証である。但し、あくまでもドル換算の元本保証だ。世界情勢やら何やらの関係で日本とアメリカの立場が逆転していたとしても、知ったこっちゃないということだ。
「米ドル建て保険」の手数料は最初にがっつり取られる
これから話す内容はあくまでも例だ。契約年月によって利率が変わるので一例として読んで欲しい。
- 契約利率は年4.8%
- 1ドル=112円
- 一括払いで500万円払う
この場合、まず手数料で約40万円持っていかれる。ココを理解しておかないと「騙された!」と思うに違いない。
騙されたのではなく手数料は手数料だ。契約書にもきちんと記載されている。手数料の内訳は不明だが、個人で米国株の売買をする際も必要となる。そこを理解していれば支払う額が大きいので手数料も大きいのだなぐらいの認識だ。
保険に頼ることなく米国債やらETFやら株を自分で売買出来れば、手数料は遥かに安く抑えられるだろう。しかし「慣れない作業」を「一から全て自分で調べて」「自分の責任で」行わなければならない。しかもうん百万円と額の大きい金額。私なら手が震える。つか、無理、しんどい。
プラス、これは保険だ。死亡保険も兼ねている。契約者が亡くなれば有無を言わさず、契約額が保障されるのだ。リターンする契約額(下記で触れるので慌てないで欲しい)を考えればうん十万円の手数料など安いものだ。
「米ドル建て保険」のリターンはいかほど?
約500万円用意して、約40万円を手数料で取られ、ドル変換され約4万ドル。そこから契約者がお亡くなりになる or 30年運用され、約12万ドルとなって返ってくる。実に約3倍(ただし、ドル換算)。
もちろん、受け取る時もドルから円に両替しなくてはならない。現状ベースだとドル→円両替に1ドルあたり50銭かかるので12万ドル×50銭=約6万円といったところだ。また、この受取時の1ドル=〇円で受け取り金額が確定する。単純に1ドル=100円なら約1200万円-約6万円返ってくるワケだ。これは大きい。仮に1ドル=50円でも約600万円-約6万円。30年預けていたワリにあまり大きくならなかったわねレベルである。
ココからはとてもいい加減な個人の予想として聞いて貰いたいが、1ドル=50円の未来はそうないと考える。むしろ、そうなっていたとしたらワリと真剣に世界が破滅に向かっているのではないだろうか。そんな時のお金などただの紙切れ=無価値だ。いっそ、そこまでいけばもうリターン云々の話ではない。デッド or アライブ。生きるか、死ぬかだ。
「米ドル建て保険」はドルでも受け取れる
ドル換算で元本保証なら、円高の時はドルで受け取ればいいじゃない?
何処かのマリーアントワネット風に言わせて頂いたが、ドル受け取りも可能だ。ただ、その時点で円高ならば、更に円高になるリスクもありうるワケで……この辺は何とも言えない。この辺は株と似ているなと感じる。
まとめ
- 「米ドル建保険」はドル換算の元本保証
- 「米ドル建保険」は契約時にそこそこ大きい金額の手数料がかかる
- 「米ドル建保険」は為替リスクがある
円安ならリターンが大きく、円高だとリターンが小さい
FPさんいわく、ライフプランでシミュレーションした上でずーっと寝ていると判断されたお金を米ドル建て保険にしておけばいいと仰っていた。寝ているぐらいならお金に働いて貰いましょうということだ。一理ある。
勿論、今回書かせて頂いたリスクもある。だが、やはり日本で考えられないほどリターンも大きい。最初の手続きさえしてしまえばこちらで何もする必要はないし、保険なので契約者死亡時にも受け取れる。若干内容は違えど、個人で(個別株、ETF問わず)外国株に手を出すのとどっこいどっこいのリスクなんじゃないだろうか。ものは考えようである。
今回は触れなかったが、10年経てば途中解約しても元を取れる計算(ドル換算)だ。これから更なる円安が進めば、30年待つことなく解約してもそこそこのリターンが期待できる可能性もある。
何十年先も使う予定がない、かつ、最悪大きく育つことなくそのまま帰ってきても許せる範囲の資金がある場合に、初めて検討してみてはいかがだろうか。
ただ、不必要に恐れる必要はない。リスクをきちんと理解していれば、とても理にかなった保険だ。
今回、米ドル保険を紹介された際、米ドルの方が利率が良いことやドル建にする際にかかる手数料のことなど、あらかじめ外国株のことを知っていたからこそ納得できた部分が多かった。株で外国株のことを学んでいなければそれこそ「うさんくさい」だけで終わっていただろう。
税金関係もそうだが、学んでおいた方が良いことはたくさんある。常々思うのだ。人は思考を停止させてはならない。この記事で株に少しでも興味を持った方は是非、下記記事も読んで欲しい。
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